サイトの外部リンクを別窓にする for Sphinx

ちょっとSphinx用の拡張コードを書いて、 サイト内にある外部サイト [1] へのリンクを別タブ(別窓)で開くようにしました。 今のところは、ライブラリとしての公開は一拍置く予定で、実装の考え方をメモがてら書き置きします。

Sphinx(rST)におけるリンクの考え方

Sphinxでのリンクの書き方はいくつかありますが、 このあたりの内容自体は Sphinx日本ユーザー会のサイト を参照してもらったほうが早いので割愛します。

それぞれの書き方をすると、リンク先・リンク内テキスト・その他要素などのパースを行い、 reference というノードに変換します。 この参照ノードを元に、後述ビルダー達は各種出力を行います。

SphinxのHTMLビルドにおいて、リンク=a要素はどのように生成されるか

Sphinxでアウトプットをどのようにするかは、主にビルダーの担当となっています。 雑に書くと、HTMLを生成するためには、このような流れになっています。

  1. html ビルドを用いて StandaloneHTMLBuilder によるビルドを実行

  2. ビルダーは出力のための各種準備を行い、 HTML5Translator というライターに出力を委譲

HTML5Translator には、ノードごとに visit_xxxx , depart_xxxx といったメソッドが定義されており、 文字通り、ノードの開始/終了時に随時呼び出される形式になっています。

今回のリンクなどは前述の通り reference ノードです。 HTML5Translatorのコード には visit_reference というメソッドが確認でき、 ここで a 要素を生成していることが分かります。

処理を継ぎ足して、無理矢理外部リンク化する

現在では、外部リンクを別窓などで開くための a 要素には、 target="_blank" だけでなく rel="noreferer" を指定することが多いです。 しかし、 HTML5Translator.visit_reference の実装には、 rel 属性の入り込む余地がありません。 [2]

そのため、「まるごと実装を差し替える」「一度出力して置換する」などの強硬策で別窓化する必要があります。 今回は「まるごと実装を差し替える」形式で実現しています。

def visit_reference(self, node):
    atts = {"class": "reference"}
    if node.get('internal') or 'refuri' not in node:
        atts['class'] += ' internal'
    else:
        atts['class'] += ' external'
        # overwritten
        atts['target'] = '_blank'
        atts["rel"] = "noreferrer"

もともとの HTML5Translator.visit_reference が定義している実装をまるまるコピペしています。 その上で、内部リンクor外部リンクの判定をしているブロックを見つけ、 外部リンクだった際に属性2個を追加しています。

from sphinx.writers.html5 import HTML5Translator

# 中略

def setup(app):
    app.add_node(
        reference, True, html=(visit_reference, HTML5Translator.depart_reference)
    )

reference ノードに対する開始/終了の処理ペアを、 開始のみ実装したものに上書きします。

これで、外部リンク判定のものに対してはHTML生成時に target="_blank" 等が付与されるようになります。

ライブラリ化を躊躇している理由

それなりに便利な実装なのですが、現状だとプライベートPyPI含めてパッケージ化していません。

このあたりの理由は大きくは3つあります。

  • テスト・構造を一切度外視して結果のみを優先したので、想定外のケースへの対処を何もしていない

  • もうちょっとマシな実装がありそうな気がする(コードのコピペ実装すぎるので、堅牢性がなさすぎる)

  • 優先順位が低い

「マシな実装」が思い浮かびそうなら、冬以降に考えてみようと思います。

※脚注